ある障害に関する中間報告(tadashiya版)
ある障害に関する中間報告を参考に
現時点の問題点と、その対応策についてご報告いたします。
現在、問題解決への調整中です。チーム側では、中央銀行制度をベースとした制御システムを軸に問題解決に当たりたいと、SIへ問い合わせ中です。
SI側は、「金利がゼロになると制御不能となる可能性があるので、その方向性は検討できない」と議題にものせてもらえません。
現在、海外での「金利ゼロでも制御可能だった」という事例の詳細をもとに、再度SIへの強いアプローチをかける予定です。
ただ、SI側は、万が一、ハイパーインフレが発生した場合の責任の所在を盾に抵抗する構えを示していて、現状打開のめどはたっていません。
なお、このシステムは、中央銀行の独立性というセキュリティシステムを採用しています。しかし、弊社の案を実行するには、一時的にこのシステムをオフにする必要があります。これもSIの反対を強固にしている原因だと考えられます。SIでは、一度このシステムをオフにすると、運用で大きく問題が発生する可能性があると考えています。
なお、一番の問題は、昨年の秋にSIの経営陣が総入れ替えになり、現場の状況を把握している人がいなくなってしまったことです。一から説明しなければならないことはもちろん、以前は最優先課題とされていた当現場も、二の次、三の次となっている感がいなめません。
さらに、現在、「ハードを総入れ替えして、さらに高性能な環境を構築して欲しい」とユーザー側から直接指摘されております。ユーザー側からは、オフショアなど近代的な手法を積極的に利用してコストダウンも実施して欲しいとの要望もされており、弊社は苦しい立場におります。無論、すぐできるのであれば、そうしたいのですが、弊社、SIで抱えるソフト面でのこれまでの知見や人的なリソースを無駄にしてしまう可能性を考えると、弊社としては、その案はとりたくないと考えております。
とにかく、現場では問題をコントロールできる状況ではありません。
早くユーザー、SI間を調整できるスタッフを配置してください。
どうぞ、早急にご検討のほどよろしくお願いいたします。
縮小時代の必読書
- 作者: 矢作弘
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/12/10
- メディア: 新書
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我々ほど、都市縮小の時代を感じながら、それに背を向けて大都会東京(いまだ拡大を続けている都市)で背徳感を感じながら、忙しく生きている世代はありませんから。
その本の中で、今後の日本のキーワードになり得る言葉を見つけました。
P.7
少々穿った見方かも知れないが、増えたり拡大したりできなくなったことに対して市民の間である種の諦観があり、それが総合計画に反映しているようにも思える。
この「諦観」は、この数年まで無かった考えではないでしょうか。
さらに、この本では、欧米、日本で縮小(人口が減少する)都市を取り上げながら、縮小都市の抱える課題とその克服への対応をテーマとしてぶつかっていきます。アメリカ、ヨーロッパ、日本の都市の中で、過去の繁栄(炭鉱、製鉄業、製造業)から見放され、どん底に落ちた町が、様々な取り組みを通じて、その町のアイデンティティを確立していく戦いが描かれます。
この本を通じて気づかされるのは、「縮小の辺境」が持つその可能性です。人口が減少する都市には、必ず「Edge=辺境」が存在し、その辺境は荒廃します。ビルや住居が空室化し、工場が廃業し、場合によっては薬物の売買などが行われる危険地区化してしまいます。
こういった愛想を尽かされた地区をよみがえらせるのが、風変わりのアーティスティックで、変わり達だというのが本書のテーゼであり、醍醐味になります。もちろん、当局の都市開発もその力の補助的役割を果たしますが、辺境復興の力のメインは偏屈達が起爆剤となった地元で設立された民間のNPOです。そこに都市縮小の可能性の本質が明らかにされるのです。
「都市が縮小し続けると、ある地域が辺境化する。空間の辺境化は、しばしば人間の存在自体を辺境化する。辺境化は暮らしに痛みを伴って進展する。しかし、一方では主流派
がつくり出すことのできない、なにか新しいものを創出する。」
日本での事例も紹介されいますが(釜石など)、どちらかというと、均一的に似縮小化の波にのまれた日本では、本当の勝負はこれからといえるでしょう。
地方分権(成功、失敗の地域が発生することを許容する考え)の政治が中心になるのか、中央集権(できる限り均一化した開発発展停滞をめざす考え)の考えが主流になるのかで、地方政治は右往左往するでしょうが、大枠として、縮小都市をどう生き抜いて行くのかは各都市の早急な課題として目の前に立ちはだかります。
果たして、日本の都市に未来があるのか、注視したいテーマであります。
運命に頼らない、創意工夫でハッピーな2人になろう。
- 作者: 大塚隆史
- 出版社/メーカー: ポット出版
- 発売日: 2009/10/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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そんな二人の関係作りに役立つヒントが入った本が、この「二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ」です。この本では、著者の大塚さんの半生を追いかけながら、大事な人と長く幸せに生きていくためには、どうすればいいのかを探っていきます。
大塚さんは、男性が恋愛対象となる男性。つまりゲイです。ゲイの世界では、男同士の関係は長く続かないというのが常識だった時代が長く、そんな時から大塚さんは「好きな人と長く幸せに暮らしたい」と願い、様々な工夫をしてきました。
大塚さんは、関係作りは技術だと言い切ります。
誰かと出会って、パートナーシップをやっていこうと思った時、運を天に任せるような気分になるものですが、関係作りは、サイコロを振るような行為ではなく、技術を駆使して遂行していくプロジェクトです。
「パートナーシップは技術によって成り立っている」
このことは赤線を引いて強調しておきたいくらいです。
そして、その技術は特別なものではなく、「相手に自分の考えを伝える技術」「相手から本音を引き出す技術」といった普通の人間関係に必要な技術と同じものばかりです。ですから、これらの技術をあらかじめたくさん自主トレしておけば、パートナー候補が突然現れた時でも慌てることはないんですね。
さらに大塚さんは、関係作りについて4つのポイントを紹介します。
- 目的地を共有しておく
- 意志を確認しておく
- 現状を把握する
- 技術によって関係を調整する
この4つを意識しながら、長いレンジでよい関係を目指して成長して行けたのなら、その関係はすでに幸せな関係なのだといえるでしょう。
当たり前と思っている関係作りの目的地についても、よくよく考えてみると漠然としているものです。特に、結婚前のカップルにとって、結婚後の関係作りなんて考えることもないでしょう。結婚が目的そのものになっていることも多いはずです。そんな幸せカップルにとっても、この本の提案は役立つはずです。
もちろんカップルだけでなく、これからパートナーを見つけたいと思っている人にもお勧めの一冊です。
この本は「あいため〜愛のためのⅠのためのタメになるエンターテイメント〜」ブログで知りました。感謝。
90%はカスだ。10%はカスではない。そして1%は本当にすばらしいものだ。(クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす)
クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす (ハヤカワ新書juice)
- 作者: ジェフハウ,Jeff Howe,中島由華
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/05/01
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 68回
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ウィキペディア(辞書サービス)、はてなブックマーク(ソーシャルブックマークサービス)、クックパッド(レシピ共有サービス)などクラウドソーシングには数多くの成功例があります。その一方で、心ない人がサービス全体をおかしくしないのかといった疑問も尽きません。
この本では、豊富なクラウドソーシングの実例を紹介しながら、クラウドソーシングによって何が可能となるのか、クラウドソーシングがうまく機能する条件はどういったものなのかを探っていきます。
多くのクラウドソーシングを眺めてみると、ある一定の割合でユーザーの活動が分けられることが分かってきます。
それを端的に表すのが、スタージョンの法則です。
P.317
いわく、どんなものでも(とりわけユーザー生成コンテンツは)九〇パーセントは、一言でいえば、カスである。
もちろん、スタージョンの法則を裏返せば、どんなものでも10%はカスではない。そして、それよりもやや少ないパーセンテージのものは、文句なくすばらしいのだ。
さらに、著者はヤフーのブラッドリー・ホロウィッツが提唱した1対10対89の法則が紹介されます。
P.317
あるサイトを訪れる一〇〇人のうち一人はじっさいに何かを作りだし、一〇人はその人の作品に投票し、あとの八九人はその作品を消費するだけであるというものだ。
著者は、この10%のユーザーに注目します。この10%の活発なユーザーがコミニティ内で投票し、採点し、議論し、サイトの秩序を守ることによって、価値ある1%が発掘されることを助け、他の89%が迷走することを防ぐというのです。
日本で身近なクラウド(群衆)の集まりといえば「2ちゃんねる」でしょう。その2ちゃんねるを例に考えてみるとわかりやすいです。今、2ちゃんねるの掲示板をくまなく読んでいるユーザーはほとんどいないでしょう。2ちゃんねる自体の操作性もいいものとは言えません。膨大なコンテンツの中で自分にとって有意義な投稿がどこにあるのかはすぐには分からないでしょう。その一方、2ちゃんねるの記事をまとめた「まとめサイト」は非常に人気があります。さらに、そのまとめサイトの記事が、ソーシャルブックマークで評価されることにより、2ちゃんねるの投稿のうち人気のあるものは多くの人に読まれます。つまり、面白い内容になればなるほど、多くのユーザーの目に触れる構造が成立しているのです。この構造の中で、まとめサイトを作る層、ソーシャルブックマークへブックマークをする層が先述の10%に相当し、価値ある投稿をする1%に匹敵するぐらい大事な役割を担っていると考えられているのです。
著者は、クラウドソーシングのコミュニティには、そうした活動的なユーザーを導いていく「慈悲深い独裁者」の存在も指摘しています。なるほど、リナックスならリーナス・トーヴァルズ。2ちゃんねるならひろゆき。RubyならMatz。はてななら近藤社長。彼らの控えめなリーダーシップと信念が、コミュニティの指針となり、クラウドが前向きに進んでいくことにつながっていくという構造が思い浮かびます。もちろん、成功したコミニティの陰に、リーダーシップがクラウドの意向とぶつかり、破綻してしまった多くのコミュニティがあることも忘れてはいけないでしょう。
この本では、その他に、参加者に未来予想の取引をさせる予想市場や、少額金銭貸借のマッチングをするクラウドファンディングなど、大きな機関に頼らず、透明性の高い仕組みを生み出そうとする数々の取り組みが取り上げられ、とても興味深いです。
クラウドそのものを生み出したい人はもちろん、クラウドの一員となって新しい価値を創造したい人にも読んでもらいたい一冊です。
凡人には、凡人のための生き抜く戦略がある。(凡人起業―「カリスマ経営者」は見習うな!)
- 作者: 多田正幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 新書
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「凡人起業」という題名からして手にとりにくい本です。でも、起業について少しでも考えている人には、ぜひ一読してもらいたい一冊です。
「起業前に起業本を手にする」我々常識人(凡人)にとってためになる、起業準備のための心構えが沢山詰まった本です。
著者は、大手商社、フランチャイズの塾経営、個人の貿易商、税理士事務所勤務の後、自分の税理士事務所開業と、様々な企業や起業をいろんな立場から見つめ、経験しています。そんな著者だからこそ、常識人には常識人流の起業の方法があるという話には説得力があります。
一般に、起業家や一代目の社長というとバイタリティ旺盛のカリスマ経営者というイメージがあります。筆者は彼らの行動力の源を、常識人とは“ずれた感覚”にあるとし、それは才能であると認めます。
P.83
私のような小心者からすると、いやな経験をいやな経験とは感じない感覚は“すれた感覚”と思えるのですが、この“ずれた感覚”は一種の才能であり、中小企業レベルの事業経営においては、それが非常に重要な才能であるように思うのです。
それでは、そんな“ずれた感覚”を持っていない常識人はどうすればいいのか。
P.85
(4)情報収集のために思いついたアイデアのうち、実行しても精神的にそれほぞ苦痛を感じないようなものがあれば、とりあえずどんどん実行する。
(5)実行するには大きな精神的苦痛を伴いそうなアイデアに関しては、できるだけ同じような効果が見込める実行可能なアプローチに変更する。
バイタリティ旺盛なカリスマ経営者の真似をして挫けてしまうよりも、できそうなアプローチに変更して実行してみる。これが、理性や常識のある一般人だからこその攻め方なのです。「なんだ」と言わないでください、一般の「超人」起業本にはこんなアドバイスは書いてないでしょう。
この本には、そのほかにも読みどころ満載です。
著者は税理士なのに、「税理士に経営指導は仰がない」という章があったり、「実際の社長さんはこんな人たち」という章では、筆者が出会ったいろんな社長さんのスタイルを著者の視点で紹介したりしていて、読み物としてもとても面白いです。
あなたがもし起業を考えているサラリーマンだったら、ぜひ一読していただきたい一冊です。
Vital Japan「グローバル・リーダーシップとコミュニケーション」
11月14日に開催された、Vital Japanの勉強会に参加しました。
簡単ですが、感想です。
Vital Japanは、内外の専門家が業界の垣根を越えてネットワークを作り、切磋琢磨していこうという趣旨で2002年に結成された非営利の団体です。
今回の勉強会のテーマは、「スキル向上!グローバル・リーダーシップとコミュニケーション」で、ビジネス・ブレークスルー大学院大学で講師をされているジンジャー・グリッグ先生の話をお聞きしました。話を聞くと言うよりも、ワークショップ中心で、口と耳を動かして参加するという雰囲気の方が強く、とても楽しかったです。
ワークショップでは、採用の面接時の会話、チーム・リーダーの問題(パワー・ハラスメント)を解決へ促す会話の2つのビデオを見て、それぞれ悪い点、よい点をテーブルで話し合いました。「傍目八目」と言いますか、他人の悪いところはすぐ気になるんですよね。ビデオを見ていて、すごく冷静に会話を眺めている自分を感じて、そう思いました。自分の演説をビデオにとって悪いところを直す政治家がいると言う話を聞いたことがありますが、普段のコミュニケーションでも、これは有効かもしれません。
後半テーマになった、問題を解決へ促す会話で気をつける点では、
- 相手の視点が、自分の視点と同じと考えない。
- 困難な時ほど、最終目標に立ち返ろう。
- 中立で、前向きに、関心をもって、問題解決思考でいよう。
- 個人を攻撃するような言葉は使わない。
といった指摘があり、ビジネスのみならず、友人やパートナーとの会話でも活かせるなぁと思いました。特に、「相手の視点が、自分の視点と同じと考えない」に関連したスライドで簡単なゲームをしたときには、思わず絶句してしまいました。
Vital Japanでは、また、ジンジャー先生の勉強会を企画予定とのことなので、とても楽しみです。
ジンジャー先生、Vital Japanのオーガナイザーの皆さん、ありがとうございました。
希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学
- 作者: 池田信夫
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/10/09
- メディア: 単行本
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日本経済の長期低迷、若者層に広がる失業率の上昇、日本人が感じる幸せ感の欠如。日本の抱える多くの問題は日本型の社会システムが、現在の世界状況に対応できていないからだと著者は論じる。
本書の中で一貫して強く感じるメッセージは、人材、資金が適材適所で配置されない日本システムの欠陥だ。「安心・安全」を重視した「すりあわせ」型の集団で、高度経済成長を成し遂げてきた日本。この長期低迷の中で、その成功体験を捨てて、ゼロからスタートしなくてはいけない局面に立たされているのだと痛感する。
著者が最近、Twitterでつぶやいたとおり、目的も設計図やルールもなくプログラムをいくらデバッグしても、よりよいプログラムなどできない。
今日本に必要なのは、根拠のない希望ではなく、根拠のある設計図である。
日本社会を再設計するためのキーワードがこの本にはあると思う。