希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学

希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学

希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学

日本ブログ界で非常に有名な池田信夫氏の新著。池田氏のブログ「池田信夫 Blog」の記事を中心に論じている。池田氏が普段から発言している「ワーキング・リッチ」「失われた20年」などに、ついて力強い説明が展開される。

日本経済の長期低迷、若者層に広がる失業率の上昇、日本人が感じる幸せ感の欠如。日本の抱える多くの問題は日本型の社会システムが、現在の世界状況に対応できていないからだと著者は論じる。

本書の中で一貫して強く感じるメッセージは、人材、資金が適材適所で配置されない日本システムの欠陥だ。「安心・安全」を重視した「すりあわせ」型の集団で、高度経済成長を成し遂げてきた日本。この長期低迷の中で、その成功体験を捨てて、ゼロからスタートしなくてはいけない局面に立たされているのだと痛感する。

著者が最近、Twitterでつぶやいたとおり、目的も設計図やルールもなくプログラムをいくらデバッグしても、よりよいプログラムなどできない。

今日本に必要なのは、根拠のない希望ではなく、根拠のある設計図である。
日本社会を再設計するためのキーワードがこの本にはあると思う。