ソフトウェアベンダーとユーザー企業の思いはひとつ?

先週、木曜日開催の「DEVLOVE AGILE DEVELOPMENT IN ACTION」と、金曜日開催の「E-AGILITY Conference 2010」に参加しました。
時間の関係で、全部参加できたわけではなかったのですが、とても印象的な2つの講演がありましたので、ご紹介します。
「DEVLOVE AGILE DEVELOPMENT IN ACTION」では、@miholovesq さんが、請負案件で、アジャイル開発に取り組んだ実例を発表しました。請負案件のプロジェクトマネージャーという立場から、アジャイル開発の導入を目指したので、トップダウンでもなく、ボトムアップでもなく、「ミドルアップダウン」でスタートした形だったそうです。
印象に残ったことは、

  • 発注会社の理解があった (長年お付き合いのある企業で、アジャイル開発に取り組むことに協力的だった。)
  • チーム全体でアジャイル開発について学習する時間を持てた (プロジェクト開始までの時間に、社内勉強会を開いてチーム全体でアジャイルについて勉強した。)
  • アナログ、デジタル関係なくツールをいろいろと試行した (「やってみて、駄目だったら、ヤメればいい」の精神でいろいろと試した。)
  • ペアプログラミングを実施 (ペアプログラム用に、部屋の模様替えも実施した。)

なにより、プロジェクトを終えて、チームのメンバーの開発への姿勢が前向きだったことに感動したとのことでした。

他方、「E-AGILITY Conference 2010」では、中山嘉之さんが、ユーザー企業の情報システム部門からの視点で、反復開発を採用したシステム開発について発表しました。

  • システムの完成前に会社名が・・・。(中山さんの会社は合併などしているので、システム開発中に会社名が変わることもあった。変化への対応が重要ですね。)
  • テストデータ作成チームが鍵 (開発の期間中、テストデータ作成チームを編成して、反復開発のテストを支援している。このチームがあるおかげで、プロジェクト進行状況の妥当性が担保される。)
  • UMLなどの共通の土台を踏まえての対話が重要 (ユーザー、システム開発者が意味を取り違えることなく対話するためにも、UMLなどで共通の土台をつくることが重要だ。)
  • コラボレーションができる契約体型の必要性 (反復開発が実施できる開発体制を作るためにも、開発会社とユーザー企業間の契約体系も変化していく必要性がある。)

中山さんの講演の最後にベンダーへの要望として、「コラボレーション出来る関係づくり」「ERPを超えた付加価値づくり」をあげられていたのが印象的でした。

お二方の講演を聞いて感じたのは、ベンダー、ユーザー企業と立場は異なっていても、同じ方向性を向いて進んでいるんだということでした。それは、価値を生み出すソフトウェア開発であり、また、様々な障壁を乗り越えて価値感の共有ができる開発体制チーム作りでした。こうした実例が日本からも出てきていることを知り、日本のソフトウェア開発現場が変化しつつあるということを実感しました。