セミナー「中小企業IT経営力大賞に学ぶITの活用方法」

東京商工会議所台東支部IT分科会主催のセミナー「中小企業IT経営力大賞に学ぶITの活用方法」に参加しました。
普段このようなセミナーでは、大賞受賞者の発表を聞くことが多いのですが、今回は、選考作業部会の委員お二方(明治大学の岡田教授中小企業診断士協会顧問の高島さん)が登壇するという、貴重な話を聞けるセミナーになりました。
いくつか、気になったポイントをご紹介します。

岡田教授はこれまでの受賞者の傾向から

製造業では、生産性向上。サービス業では、マーケティングで、成果を見せやすい傾向がある。ただ比較すると、サービス業では成果の測定が難しいようだ。

ととらえているそうです。これを、社内に生産プロセスを包有するかどうかの違いで説明されていました。
これをさらに一般化すると、

データ → 情報 → 価値情報 

というプロセスが成功例の中に必ず存在し、今後は、このプロセスが経営力そのものの源泉になるだろう、ということでした。
ここで私が感じたのは、「現代の金融入門」の中で、金融機関の持つ機能を「情報生産能力」「コアビジネスの機能」に分けて説明されていることでした。
このことを一般化すると、いかなる業種でも「コアビジネス」とは別に、そのビジネスそのものから情報を生産する「情報生産能力」があると考えることができるでしょう。
この「情報生産能力」とは、一般的に言えば、「売れ筋情報」だとか、「お客さんの声」「クレーム情報」といったものでしょうか。この「情報生産能力」に着目し、これをフルに活用していけるかどうかが、これからの企業の分岐点になるのかもしれません。

一方、高島さんの話は、現場で苦労されているだけあって、現場からの知恵がたくさん込められていました。

データには必ず入力する人がいる。

「入力 → データ → 分析する人」なのだから、分析側の理屈だけでシステムを構築せずに、入力側の流れを意識する必要があると説明されました。携帯電話や、高速通信網、バーコードリーダーなど、数年前には考えられないほど安価に、便利なものが手に入るようになりました。固定概念にとらわれず、いろいろと技術の組み合わせを工夫することで、よりスムーズにデータ入力できるシステムが構築されていくべきなのでしょう。

その他にも、助成金や大賞を目指す企業は3つ得する(「考え方の整理」、「お金」、「パブリシティ」)とか、計画的にすすめるメリットだとか、目から鱗の話がたくさんあった、あっという間に二時間でした。

追加
昨日は、「中小企業IT経営力大賞2010」の授賞式でしたね。受賞企業は千葉の株式会社オオクシと、大阪の株式会社ホワイト・ベアーファミリーでした。
おめでとうございます。